

企業価値を最大限に伝える「IR × サステナビリティ」ツール戦略
企業価値を中長期的に高めるには、財務実績だけでなく、社会や環境との関わりの発信が重要です。最近では、IRとサステナビリティの両面からの情報開示が重視され、統合報告書の活用が進んでいます。これは投資家の関心が「財務情報」から「ESGなど非財務情報」へ広がっているためで、今後この流れはさらに加速すると見られています。
IRとサステナビリティは事業を通して結びついている
近年IRでは「ESG経営に関連したサステナビリティ情報の発信」が、サステナビリティでは「社会問題の解決と事業のつながり(CSV:クリエイティング・シェアード・バリュー)に関する情報の発信」が求められています。
特に双方を合わせて開示する「統合報告書」の発行企業は年々増加しており、自社のマテリアリティ(重要課題)と経営戦略の関係が明確に示されるようになりました。東京証券取引所や金融庁もこれらの情報開示の質を重視しており、IRとサステナビリティを一体として考える必要性が高まっています。
IRを構成する情報要素とツール
IR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ)は、企業が投資家や株主に対して経営の透明性を示し、信頼を得るための活動です。開示が義務付けられている主な資料としては、決算短信、有価証券報告書、四半期報告書、株主通信などがあります。
加えて、多くの企業では中長期経営計画、製品・サービスの情報、業務提携情報、役員情報、ESG情報などを開示し、企業の方向性や成長可能性を示しています。これらの情報は、アニュアルレポート、統合報告書、IR説明会資料、会社案内、社史などさまざまな形式で提供されています。
サステナビリティを構成する情報要素とツール
サステナビリティ情報は、企業の環境への配慮、社会貢献、ガバナンス体制など、非財務情報を体系的に示すものです。これにより企業は、リスク管理能力や持続的成長への取り組みを示すことができ、ステークホルダーとの信頼関係構築につながります。
具体的には、気候変動対策、人権尊重、多様性推進、従業員の健康管理、サプライチェーン管理、サイバーセキュリティなどのテーマが含まれます。これらの情報は、CSR報告書、環境報告書、サステナビリティレポート、統合報告書にまとめられ、近年は英語での開示も増えてきています。
情報開示ツールに必要な一貫したメッセージ性
IRツールやサステナビリティツールには多種多様な形式があり、企業内で複数のツールが乱立しているケースも少なくありません。しかし、重要なのは「情報の羅列」ではなく、適切な情報開示とステークホルダーとの対話につながる「一貫したメッセージ性」です。
統合報告書では財務と非財務の情報を結びつけるストーリー設計が重要とされます。同様にサステナビリティレポートでも、経営戦略との連動性など情報の背景を含めた説明が求められます。ツールの目的とターゲットを明確にしたうえで、情報の重複や断絶を防ぎ、一貫した設計であることがポイントとなります。
訴求力を高める「戦略的ツールフォーメーション」へ
自社が本当に伝えたいメッセージは?誰に届けたいのか?その軸を明確にすることが、ツール戦略の再設計においては欠かせません。関連する既存ツールが複数ある場合、例えば下図のように投資家向けであるアニュアルレポートを統合報告書にまとめ、目的が同じCSR報告書とサステナビリティサイトをサステナビリティレポートのサイトとして融合することなどで、情報の重複を減らし訴求力を高めることができます。
また、株主や投資家だけでなく、社員を主なターゲットとした社史やビジョンブックを追加することで、社内のモチベーション向上や一体感の醸成にもつながります。
ツール見直し一例
ターゲットや目的を絞ってより訴求力を高めたい場合、例として以下のようなツールの追加も考えられます。
各ツールの明確な役割を意識して、ステークホルダーに対する最適な情報提供のかたちを設計します。
ターゲットと目的の一例
ターゲット | 目的 | ツール例 | 強調する内容 |
社員 | ビジョン浸透 | ダイジェスト冊子、動画 | 企業理念、事業ストーリー |
採用候補者 | 魅力訴求 | ESGリーフレット、1分動画 | 未来性、社会貢献 |
学生・教育現場 | 社会課題学習 | 授業用スライド、まんが冊子 | SDGs、社会価値 |
地域社会 | 信頼獲得 | 地域報告冊子、広報記事 | 地元貢献、雇用・環境 |
取引先 | 方針共有 | サステナビリティ通信、環境方針冊子 | 環境方針、共創事例 |
金融機関 | 評価材料 | ESGデータブック | 定量データ、方針明示 |
企業価値を高めるIRとサステナビリティのあり方
今後のIR・サステナビリティ戦略では、「企業の意志」と「社会からの要請」との接点を、情報発信ツール全体を通して「わかりやすく、共感を得られる形」で伝えることが重要です。そのためには、ブランディングの視点で自社の立ち位置や強みを見つめ直し、クリエイティブの力でそれを適切に可視化する必要があります。
私たちは、こうした情報発信において、戦略立案からツール制作まで一貫したサポートを提供しています。IRとサステナビリティを統合した戦略的なツールフォーメーションの構築は、企業の中長期的な価値向上につながる効果的な一手となると考えています。
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