

システム開発×デザインの挑戦。システムに「使いやすさ」という武器を!
ビジネスの現場で業務に活用するシステムは、単に「使える」だけではなく「使いやすさ」が求められます。
堅実なシステム開発力を誇る株式会社 東京シー・エム・シーさまと、UX/UIデザインに強みを持つ株式会社テイ・デイ・エスは、お互いの得意分野を掛け合わせて、ユーザーにとって使いやすいシステム開発に取り組んでいます。
本記事では、両者の強みの補完関係やシステム開発とデザインが手を組むことで生まれる価値についてインタビューした様子をお伝えします。
<株式会社 東京シー・エム・シー|技術・営業部 課長> 後藤 雅志さま(写真右)
<株式会社 テイ・デイ・エス|UXディレクター> 加藤 健大(写真左)
システム開発会社&デザイン会社 対談インタビュー
ーまずは、それぞれの企業と担当業務の概要について教えてください。
<後藤>
株式会社 東京シー・エム・シーは平成3年設立の企業で、創業当時、世間では白地図に手書き図面を書いていた時代に、今でいうGIS(Geographic Information System:地理情報を管理・加工・分析し、地図として視覚的に表示するシステム)の走りのような事業をしていました。その後も長年、通信事業者向け地域インフラ支援をしていて、設備管理システム開発に強みがある会社です。
私自身は、技術・営業部に所属していて、メインは営業活動ですが、特殊な知識や技術が要求される業界ということもあり、技術面の知見を習得してお客さまの技術支援も行なっています。
<加藤>
テイ・デイ・エスは、デジタル媒体から紙媒体まで幅広くデザインをしている会社です。色や形から感じる印象といった「意匠」的な意味合いのデザインはもちろん、システムのユーザー体験や表示する情報の「設計」的な意味合いのデザインにも強みを持つ会社です。
私はその中でも、システムやアプリケーションのUX/UIデザインから検証までの工程のディレクションを主に担当しています。UXデザインはシステム開発工程で言うところの要求定義や要件定義のような部分で、設計したUXから要求を整理した上で要件を洗い出していく工程です。技術面で詳細な要件定義を行う際は、システム開発会社と連携して進めます。また、設計したUIを実際のユーザーに使ってもらい「使いやすさ」を検証するなどの支援もしています。
ーシステム開発とデザインを得意とする2社が協業する経緯を教えてください。
<後藤>
最初の接点は展示会でしたね。当初は、自社プロダクトのリデザインを考えていました。長年、機能面を向上してきましたが、デザイン面は積極的に手を加えてこなかったこともあり、デザインで新しい価値が付けられるのではないかと考え、展示会でテイ・デイ・エスさんに相談しました。「費用感」や「親身に相談できそうか」という視点で話を聞きました。
<加藤>
最初は自社プロダクトの話でしたね。展示会後も協業する前に2度ほど顔合わせをしましたが、私に「親身に相談できそう」という印象を持っていただけたということですか?(笑)
<後藤>
そうですね。物腰が柔らかで、デザインの説明や提示いただく資料の端々もとても丁寧で、ものづくりに注力されている方だという印象を持ちました。当初は、自社プロダクトのリデザインを想定してましたが、そのタイミングで喫緊の受託開発が入って、私たちのリソース不足もあり協業のお誘いをしました。
<加藤>
お声がけいただけてとても嬉しかったです。テイ・デイ・エスはデザインの専門性は深めていますが、バックエンドの開発体制がないので、私たちの強みを活かして、足りない部分を補っていただけるお誘いでした。
ーどのような役割分担で協業したんですか?
<後藤>
プロジェクト自体は商品管理と顧客管理を行うWebシステムの新規立ち上げで、私が営業窓口としてヒアリングや要件定義等を行って、テイ・デイ・エスさんにはHTMLやCSSのコーディングを含めたUIのデザインを依頼しました。
<加藤>
プロジェクトマネジメントも後藤さんが担当してくださったので、弊社は本当にデザインに注力できました。画面の要件整理やワイヤーフレームなどはFigmaを使って、エンドクライアントさんとも共有しながら固めました。私たちはフロントエンドのコーディングまでを担当して、東京シー・エム・シーさんへコードを納品。その後のバックエンド開発やフロント側のコードとの繋ぎ込み、エンドクライアントさんへの最終納品は東京シー・エム・シーさんへお任せしました。
ー初めての協業体制で、難しさを感じた点はありますか?
<後藤>
普段は、お客さまと対話をしながらエクセル等で「ボタンはこの辺ですかね?」と粗いワイヤーフレームで確認しながらデザインを形にしていきます。お客さまも私たちも実装する機能面に注力してきたので、テイ・デイ・エスさんから、これまでになく綺麗に整ったデザインが出てきて、お客さまも私たちも面食らいました。
というのは、「キャンセルボタンがきちんとあるか?」といった機能面の確認の経験しかなく、具体的でリッチなデザインをチェックしたりGOサインを出す基準を持ち合わせてなかったんです。こうした良し悪しの判断も場数を踏んで慣れるべきことだと思いました。
<加藤>
そうだったんですね。戸惑わせてしまったのでしたら、「慣れ」を考慮してより確認しやすい方法を取れたかもしれません。クライアントの「体験」をより良くする観点で今のお話はとても勉強になります。
<後藤>
今の加藤さんのクライアントの体験も良くしようという姿勢は、営業の立場としても通じるところを感じます。実は、私は施工のエンジニアからキャリアをスタートして、お客さまのニーズに応じてシステムをメインに扱うようになったんです。会社として、フィジカルの施工とそれをコントロールするシステム開発の両方のニーズに応えることが、お客さまの一連の「体験」を良くするという考えでした。
ー協業で感じた業務スタイルの違いはありますか?
<後藤>
テイ・デイ・エスさんと協業して感じたのは、デザインを提供する際に、常にベストなパフォーマンスを提供しようとしてくれているなということです。実は多くのエンジニアは、保守やメンテナンス、拡張性などの観点で、必ずしもベストパフォーマンスを目指さないことがあるんです。この辺りは少しスタイルの違いを感じましたね。
<加藤>
双方、良いものを作りたい共通の想いはあるけど、エンジニアとデザイナーなどの職域、会社特有のセオリーや業務スタイルの違いによる協業のギャップ「あるある」かもしれませんね(笑)デザイナーもデザインガイドラインやUIコンポーネント集作成など、長期視点のベストを考えますので、事前に示し合わせをしたり、何度か一緒に仕事をして、お互いの理解を深めていけたらと思います。
ー協業して「メリット」や「学び」と感じたのはどんなところですか?
<後藤>
まず間違いなく自社だけでは作り得ない画面構成やデザインになりました。アプリケーションの動きひとつに関しても、こんな発想や、やり方があるのかという発見がありました。デザインを生業にしていないとできないアウトプットにしていただけました。逆に一緒に仕事をすることで、システム開発会社が持つセオリーをご提供できた部分も多々あるかと思います。
<加藤>
そうですね。例えば命名規則や管理方法などのセオリーなど、やり取りの中でとても学びが多かったです。東京シー・エム・シーさんをはじめ、システム開発会社さんと仕事をすると、技術寄りの知見が広がることで、システム視点に偏りそうになることがあるんですよね(笑)ただ私たちは、ユーザビリティに対して責任があるので、そこは踏ん張って納得のいく落とし所を見つけられるよう気を付けています。
それと個人的な話になりますが、後藤さんがエンドクライアントさんと折衝していたり、内部リソースが逼迫しないよう采配するディレクションスキルがものすごく高くて、私自身もプロジェクトによってデザインフェーズのマネジメントを担うこともあるので、とても勉強になりました。
<後藤>
私の場合、営業はもちろんですが、PM(プロジェクトマネージャー)の役回りも担っているので、スケジュール管理や折衝、物事を決める際の線引きの見極めなども行います。その点で加藤さんと通じた部分があったのかもしれませんね。
<加藤>
とても印象深かったのは、エンドクライアントのご担当者さんから1画面になるべく情報を詰めこみたいという要望があって、どの情報を優先して表示すべきか「使いやすさ」の観点で平行線になりかけた際に、後藤さんが機転を効かせて実際にシステムを使用する部門の方数名へのヒアリングの場を調整してくれましたよね。
おかげでオンラインでヒアリングしながら、その場で画面構成を詰めることができました。デザイン側としてはユーザーの声を聞く機会をいただけて、ご担当者さんもオンラインの場で直接ユーザーの声を聞くことで自然に納得してくれていたので、こうした采配は本当にありがたかったです。
<後藤>
ありがとうございます。同じ情報でもその価値はユーザーによって異なりますし、順序や優劣をつけていかないとデザインのバランスは取れないですよね。それならば、実際のユーザーの意見を取り入れられるだけ取り入れないとどうしても使いにくくなりがちという考えは持っているので。
<加藤>
私たちの仕事は、そもそもその考え方を頭に入れてもらうところから開始することも多いんです。その点、後藤さんとは、ユーザー視点に関しての考え方が近いので、一緒に仕事がしやすかったです。もともとそういうスタンスなんですか?
<後藤>
テイ・デイ・エスさんもデザインの際に目線の流れやどんな情報を強調をするかをユーザー視点で考えると思いますが、営業の私も何らかの資料を作って、プレゼンテーションして、相手にメリットを感じてもらわなければいけないので、「何の情報を提供するか」「どこに着目してもらうか」自然と相手視点で考えます。そういう意味では、近しい業務なのかもしれませんね。
ーお二人にとってシステムの「使いやすさ」とはなんですか?
<後藤>
システムを作って売るという仕事をしていると「誰でも使えるようにしてくれ」と言われます。要は「学習を必要とせずに自然と操作できるシステム」が、私たちの目指すところです。一生懸命作った良いシステムほど、皮肉なことに使用していただく時間は短くなるんですけどね。
<加藤>
私たちは、よく「ユーザビリティ」という言葉を使いますが、ユーザーを迷わせず、できるだけ直感的に、学習せずに操作できるようにすることが大事だと考えています。その結果、後藤さんのおっしゃるように効率化されて、ユーザーがシステムを使う時間が短くなり、マニュアルやQA資料、使い方への問い合わせなどが減るといった副次的な良い効果もありますよね。
ただ、時々、難しいなと思うのが、ユーザーが今まで使い慣れた画面があって、新たな画面とのギャップがありすぎた場合、逆に学習コストが跳ね上がることがあるんです。なのでセオリーを盲信せず、あくまで実際のユーザーに寄り添うことが大事だと心がけています。
ー最後に、今後の協業関係に期待することを一言ください。
<後藤>
テイ・デイ・エスさんが持っているデザインの引き出しはまだまだ広いんだろうなと感じています。おそらく対応する業務システムやアプリケーションによって、まだ見たことのないデザインの選択肢が出てくると思っていますので、いろんなものを見せていただき、魅力や可能性をもっと広げていきたいです。
<加藤>
ありがとうございます。一緒にお仕事をさせていただき、さらに学びになることもたくさんありました。プロジェクトや協業体制の振り返りをして継続することで、お互いの連携がよりスムーズになっていくはずですし、同時に「ものづくり」の幅が広がっていくと思っています。ぜひ引き続きお付き合いよろしくお願いします。
ー本日は、ありがとうございました。
株式会社 東京シー・エム・シー
設備管理やGISなど、社会インフラを支えるシステム開発に強みを持つシステム開発会社。
通信・電力・鉄道など幅広い領域で、現場に寄り添った高品質なソリューションを提供しています。
株式会社 東京シー・エム・シー 公式サイト
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